超レ欲ス

「うわ!泣いてんの?おまえ」

そう。俺は泣いていた。

バタボタベタと制服のワイシャツを濡らして、バカ丸出しで泣いていた。

てゆうか兄貴におまえって言うな。

この小説はいわゆるお涙頂戴ではなかった。

だってのに……、

「うわ、鼻水たれてるぞテル。きったねぇ!」

笑い飛ばして読むことが、どう頑張っても……、

「ジジイかよ!ぎゃはははは!」

どう頑張っても……、

「ばっかみてー。あはははは!」

「うるせぇ!ヒトが本読んでるときに横からウダウダと。それで俺が泣こうがゲロ吐こうがいいじゃねぇかバカ!寝ぐせ頭ハゲ!」

「ハゲてねーよ!ハゲはおまえだろ、バカテル!」

「無根拠なおまえの負け惜しみとは違うんだよ。ライン引いたみたく地肌見えてるぞ。鏡見てこい、この七三ハゲ!つーかおまえって言うな、こんガキ!」

――ああ、雰囲気が、もう。

タクのバカ野郎。

せっかく良いはなし読んだ余韻に浸りかけてたってのに。

残り数ページを残し、とても読めた状況ではなくなってしまったので俺は泣きはらした顔を洗いに洗面所へ向かう。

で、ハルに遭遇。

「はやっ!どうしたのテル。珍しいことすんなよ。雨が降るじゃん。つーか何泣いてんの?キモイんだけど」

妹弟揃ってこれかよ!

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