超レ欲ス

俺のもの言いに浅瀬ちゃんは少しわざとらしく顔をこわばらせ、

「なにそれ。キミが本紹介してっていうから、ユタカに渡しに来たんでしょ」

と、一冊の本を自分の鞄から取り出し、

「はいユタカ。これ嶋村くんに渡しといて」

「え?」

それを困惑する志田の胸に、ぽんとあずけた。

そしてこちらに視線を戻すと、にやっとこれまたわざとらしく笑って、

「これでよかったんだよね」

なんてことを言ったのだった。

その態度は嫌悪に満ちているというより、お茶目をひとつやらかしたといった感じだった。

つまり……、これは、どういうことなのか。

俺に嫌悪している様子もなく、かつちゃんとメッセージを受け取ってくれているってことは……。

彼女は昨日、俺に返事を書かなかった。


――そう、返事を書かなかった“だけ”だったのだ。


別に俺が思い込んだように彼女は気持ち悪くて返事を送らなかったわけではなかった。

俺の中でモヤッとしていた何かがシュウ~っとしぼんでいくのがわかる。

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