超レ欲ス



思うんだが、どうしてオナニーの後って眠くなるんだろうな。

「テル、ご飯だって。起きろよ」

と、春巳に起こされるまで、俺は自室ですっかり眠りこけてしまっていた。

……つーか今蹴りませんでしたかハルさん?

「え。今何時?」

「七時半。早く来ないとウザイから、さっさと起きろよな」

「ん。ああ、起きた起きた。すぐ行く」

俺がそう応えると、ハルはフンと一瞥くれて、

「寝んなよ」

とトドメの釘刺しをいれて、食堂へと歩いていった。

……なんだあれ。

あれが、妹の兄に対する態度であろうか。

ハルの奴があんなんだから、タクも俺にちっとも……こう、尊敬的なものを抱かないんだよな。

俺は体を起こし、ふぁーあ、と大あくびをした。

二段ベッドの下段。

十年前から俺の特等席。

ベッドの下には……なんてベタなことはなく、敷き布団はすっかりペッタンコで、油断するとすぐ寝違える年代物。

昔は上段にハルが寝ていたが、あいつが中学に上がって部屋が分かれてからは、タクの寝床となった。

ついでに小学生時代にハルが使っていた勉強机もタクが受け継ぎ、俺の部屋にはハルがいなくなった代わり、新たな住人として五つ下の弟、巧巳が居座ることになった。

妹の春巳はひとり部屋で、ナイーブでお年頃の俺には、バカガキ真っ盛りな弟付きのふたり部屋。

ここでも兄の威厳皆無ときた。

まあこれは女ひとりと男ふたり、どっちを優遇すべきかという問題もあるから致し方ないのだが。

……だったら、俺にも部屋用意しろよ親父。

机と二段ベッドがもったいないとか抜かしやがったのに、あっさり納得してしまった当時の俺もバカだったが。

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