超レ欲ス
「違うの?」
「うぐ……あ、あぁっ、くそう!はい、そうだよ。好きですよ」
ぐう。
やっぱ口にすると照れるな……。
「なんだ?で、それがどうした。話が全然違うじゃん」
「違わないよ。だからおれは、アイツのバカにした態度が許せなかったんだ」
「いや、俺のことだろ?おまえカンケーないじゃん」
浜野はフッと笑った。
「ぶっちゃけ、その辺はおれにもよくわからない。……でも、嶋村ってホント、フェミニストなんだな。だからかな、無神経な振る舞いの香田が、許せないって思ったのは」
その笑顔はバカにしたふうでも自嘲するようでもなく、ただ何かに納得がいったような、満足そうなものだった。
そして、
「ありがとう。おれんち、もうそこだから、ここまででいいよ。明日、香田には謝る。悪かった、本当。今度なんか奢るよ。それで勘弁してよな」
と言い残し、浜野は行ってしまった。
破れたカッターシャツが、団地をすり抜ける風になびいていた。
「勝手に納得して行くなっつうの」
もう見えなくなってから、俺はひとりつっこんだ。