超レ欲ス

「残念だけど、俺はおまえの味方なんてしてやれんからな。そりゃあ今日の浜野は意味不明だったけど、あんときゃ俺だって迷惑だったんだぞ」

『テル!今から俺んち来い!明日の作戦会議だ!』

人のはなしを聞け。なんの作戦だ。

「やだよ。自宅謹慎だろ。大人しくしてろよ」

『俺とアイツはな。でもおまえは違うだろ。おまえだって巻き込まれて腹立たねえのか?』

「腹は立つ。ただし、おまえにもな」

『なんで俺なんだよ!浜野だろ!』

「浜野から、今日なんでキレたのか聞いた。おまえが俺に絡むのがムカついたんだと」

『ああっ?何サマだあの野郎!オタクのくせに俺らが付き合ってやってると思って調子こきやがって!ざけんな!』

出たな。

キレた香田の人を見下す厚顔無恥。

この調子じゃ、俺のことだってどんなふうに言い出すかわかったもんじゃない。

こういう時の香田は好きなだけ怒鳴らせるのが一番いい。

俺から何か言っても聞かないし、ヘタうちゃこっちまでとばっちりを食う。

冷静でいられなくなったら香田とはハナシにならない。

で、香田はかれこれ五分ほど叫んで、不意に落ち着いていき、こう言った。

『……なあ、テル。なんか俺、悪かったかな。今日』

……はぁ。これだよ。

なにか「これ」ってことに気付くのが遅いし、気付いたら途端にしおらしくなるのだ。

「うーん。俺にとっては悪かったかな。おまえ、余計なお世話焼こうとしたろ」

『B組の?』

「そうだよ。なんだかよくわからんけど、浜野はそれで俺が迷惑してると思って庇おうとしたらしい」

『わっけわかんねえ!なんだそりゃ。それじゃやっぱりアイツの都合なんじゃねえか!』

……なぁ、ちゃんと聞こうぜ。

おまえの行動に理不尽を感じてってところを頭ン中ではしょってねえか?


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