恋があと？結婚が先？

ゆうりが出張で不在の夕方、大地は病院の医局長から応接室に呼び出されて、行ってみると、大学の研究室でお世話になった先生もいた。
「先生、おひさしぶりです。」
「河合くん、がんばってるそうじゃないか」
「ありがとうございます」

いろんな話を医局長と大学の先生としたんだけど、最後になって
「河合くん、ちょっと研修に行ってみないか？私の知り合いが、ロサンゼルスで病院をやっているんだけど、あんまり大きな病院じゃないのもあって、今は、日本人医師がいないらしくてね。救急病院になってるから様々な人が運ばれてくるらしくって、各国の言語ができる医師を配置したいっていう考えで、1年間、どうかな？」
「1年ですか。」
「あぁ、研修って言ってももちろん、報酬もあるし、家族も帯同してもらって良い。救急といっても外科系ではなく内科専門の病院だから、学べることも多いと思うんだ。それと、向こうでは月１回大学病院での研修もセットになってる。考えてみてほしい。」
「あの、行くとしたら、いつからですか？」
「先方は早い方がって思っているだろうが、ここでの引き継ぎも、引越しの準備もあるだろうから、来春かな。それに、医局長や病院長には引き抜くなら、その間の医師補充を条件に出されてるから、その準備もあるんで、４月でどうだろう？」
「ちょっと考えさせてください」
「もちろん、しっかり考えてほしい。もし、河合くんが行って、良い病院だってことになったら、継続して派遣して行くことも考えているんだよ。」