私を暴いてみせて





さっきまで眠っていたのか髪は少しボサボサで、瞳はとろんとしている。
でも、その瞳が俺を映した瞬間、大きく丸くさせた。




「えっ!? 聖夜くん!?」


「あんた、大丈夫なの?」


「え……え……?」


「やっほ、さっちゃん」




ひょこっと、俺の背後から海斗が笑顔で顔を出す。
それで落ち着きを取り戻したのか、さつきの表情は少し和らいだ。




「海斗くん……」


「体調はどう?」


「あ……もう平気だよ」




そう言ってさつきは俺と海斗を部屋に入れてくれた。
その時キラリと光った、ネックレス。





「……さっちゃん、ネックレスしてたんだね」




海斗も気がついたようで、小さく呟いた。
指輪がチェーンに通っていた様に見えた。
それは、悠二から……?


そこで考えを止めて、鞄から何冊かノートを取り出してさつきに渡した。




「……え?」


「これ、今日の授業のノート」


「えっ、あ、ありがとうっ」




その言葉に自然と口元が緩む。
さつきから言われる”ありがとう”は、他の奴に言われるより何倍も嬉しい。




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