私を暴いてみせて





「あぁ、これ?」




チェーンを引っ張って、見せてくれた。
さっき見えたのは見間違いじゃなく、ピンクゴールドの指輪が引っ掛けてあった。




「ずっとつけてたの。制服に隠れて普段は見えないんだけどね:


「そうだったんだ。可愛いね。触っていい?」


「いいよ」




さつきの首に掛けたまま触るから、さつきと海斗の距離は近くなる。
触れながら海斗は会話を続けた。




「指輪はめないの?」


「……今はね」




急に表情が変わった。
寂しそうな――悲しそうな。


その顔にやっぱり悠二からの貰い物なんだと悟った。




「……さっちゃん?」


「あ、ごめん。ちょっとぼーっとしてた。そういえば瑞希は一緒じゃないの?」


「あー……瑞希ちゃんはちょっと体調が悪いって」


「え、大丈夫なの?」


「大丈夫大丈夫」




そう言いながら指輪から手を離して、今度はさつきの長い髪の毛を弄り始めた。


……ムカつく。





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