私を暴いてみせて
海斗に近づいて、触っている手を掴む。
さつきは分からなそうな顔をしていたけど、無視。
「邪魔」
髪の毛から手を遠ざけた。
よし、これでいい。
キッとさつきの方を見て、忠告する。
「勝手に触らせんな」
「え?」
何も分かってないのは、顔見たら伝わった。
そんなさつきの傍に腰を下ろして海斗を睨む。
睨まれてるのに海斗はクスクスと笑うから、やっぱりさっきのはわざとだったんだと気づいた。
「じゃあ、俺帰るわ」
「え、もう?」
スッと立ち上がり、壁側に置いてある鞄を取る。
「うん。さっちゃんの様子も見れたしね」
帰り際、俺にしか聞こえない声でポツリと海斗は呟いた。
肩に置かれた手は少し力が入って、掴んでいる状態に近かった。
「彼氏に、負けないように」
「っ、」
こいつ……気づいてたのか。
というより、机の上の写真見てたんだ。
さつきと悠二の、仲良さそうな写真。