私を暴いてみせて





「海斗くん、待って! 見送りするよっ」


「いーの。さっちゃんのお見舞いで来たんだから。また学校でね」




得意の笑顔をさつきに見せて、海斗は部屋を出て行った。
階段を下りた後、さつきのお母さんに挨拶する声が閉まったドア越しから聞こえた。


残された、俺とさつき。


何を話せばいいか分からなくて、部屋がシーンと静まり返る。
いつもは瑞希が居てくれたから話せたけど、2人で話すことあまりないから何か話そうと、一生懸命頭を回転させる。




「……聖夜くん」


「なに?」




急に声をかけられて、しかも名前を呼んでくれたのが嬉しくてすぐに反応したからか、さつきの体は小さく跳ねた。


あー、もう。
何驚かせてんの、俺。




「……えっと、やっぱり、いいです……」


「驚かせてごめん。言って?」


「あ……はい。えっと……」




思い出したけど、怖いから敬語使うんだっけ。
じゃあ今、怖いってこと?


もう、本当嫌になる。
何怖がらせてんだ。




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