私を暴いてみせて
Episode4
昨日倒れたのが嘘の様に、私は元気になった。
気分も悪くないし、体も調子いい時と変わらない。
でも一応病院に行って先生と相談してから学校へ行く事になった。
「さつき、行くわよ」
「うんっ」
先生がいいよって言ったらそのまま学校に行けるよう、制服に着替えて鞄を持って後部座席に乗った。
ごろんと横になって目を閉じる。
瞬間睡魔が襲ってきて、次に目を開けた頃には病院に着いていた。
受付をして、待合室で名前を呼ばれるのを待つ。
ここの病院は小さい頃から通っている個人の病院で、私以外にも子供から大人まで座っていた。
でも今日はそこまで混んでなかったから、30分くらいで呼ばれた。
診察室に入ると、お腹がぽっこり出て二重顎のまん丸い体型をしたたぬき先生がカルテを片手に座っていた。
「おはよう、たぬき先生」
「おはよう、さっちゃん。昨日倒れたんだってね、調子はどう?」
「もう平気ですっ」
「顔色も良さそうだね、うん」
たぬき先生は雑談しながら診察してくれて、終わると待合室に戻った。
そしてお母さんは私を病院に連れてくる度同じ台詞を言う。
「ちょっと、トイレに行って来るからね」
それは、先生とお母さんが私の事について話し合う時のサイン。
どんな内容かは知らないけど、何度か2人で話している所を見たから今日も同じだと思う。
お母さんが来るまで瑞希に連絡しておこう。
そう思ってブレザーのポケットから携帯を出そうとした時、携帯と一緒に仕舞っていたゆうちゃんからの手紙が落ちた。
危ない、危ない。
せっかくの手紙を落としてしまうなんて。
「……ゆうちゃん。ゆうちゃん、ゆうちゃん……っ」
―――好き。
誰よりも、何よりも、ゆうちゃんが一番大好き。
きっと、これが愛だよ。
早く逢いたい。
贅沢な事なんて望まないから。
大好きな人と一緒に、隣に居るだけで幸せだから。
それ以外は何も―――望まない。