溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
一年生の時に担任だった先生は私の家庭の事情も理解してくれていて、よく親身になって話を聞いてくれたり、家に送ってくれて、十歳も年上の先生のことが本気で好きになってしまった。


実ることも想いも告げることもできずに終わった片想い。けれど、ずっと先生のことを好きな気がしていた。

私はお父さんとは違う。卒業したって先生に対する想いは変わらないはずだって思っていたけれど、先生への想いは次第に消えていった。

変わらない気持ちなんてないのかもしれない。だからお父さんはお母さんが亡くなって二年後にあっさり再婚し、私だってあれほど好きだった先生への気持ちが消えたと思うから。

大学へ進学してから、ますます家族とは疎遠になっていった。

ちょうど大学二年生の頃、お父さんが北海道へ転勤することになり、三人は引っ越し、私は大学に通うため残り、都内に住む母方の祖母、おばあちゃんと一緒に暮らすことになった。

駅に向かいながらスマホを取り出し自宅に掛ける。するとすぐに電話に出た。
< 10 / 279 >

この作品をシェア

pagetop