溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「佐野から連絡先交換しようって言ってくれて嬉しい」

「そんなっ……」

なにそれ。だって普通のことでしょ? お互いを知るためにも連絡先を交換するのは。

それなのに、そんな嬉しそうな顔で言うなんて反則だ。

私のドキドキ事情なんて知る由もない佐々木君は、まるで少年のように喜びながらスマホを取り出した。

「じゃあ交換」

「……うん」

ただ連絡先を交換するだけなのに、どうしてこんなに胸がキシキシと痛んで苦しくなるんだろう。

メモリに入った佐々木君の名前を見るだけで、胸がいっぱいになる。

「これで佐野といつでも連絡が取れるな」

「う、うん」

そしてストレートに言われると困る。

再会してから佐々木君は、たまに不意打ちでドキッとするようなことを言うよね。彼の口から出たとは思えない甘い言葉だったり、さっきみたいに抱きしめてきたり。

スマホから彼に目を向けると、私の連絡先が入ったスマホを佐々木君は愛しそうに眺めていた。
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