溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「まぁ、いいですけど。それで、どんなイケメンがいたんですか!? もしかしてもう交渉しています?」

パッと目を輝かせて聞いてきた薫ちゃんに、思わず顔が引きつる。

「えっと……ね」

ど、どうしよう。今さらすっかり忘れていましたとは言えそうにない。

「ちょうど今、交渉中で……」

苦し紛れを嘘を口にすると、薫ちゃんはホッとした表情を見せた。

「よかったです~! 私の方でも近くの個人経営の病院を回ってみたりしたんですけど、特集に掲載できるような若くてイケメンのドクターってなかなかいなくて。さすがは大きな病院ですね! どんなイケメンドクターなのか、楽しみにしています。あ、撮影やインタビューの時は是非ご一緒させてくださいね」

「……うん」

一方的に言うと薫ちゃんは小さくスキップしながら自分の席へと戻っていく。

彼女の背中を見つめながら、つい溜息が零れた。

薫ちゃんの言う通り、若くてさらには掲載できるようなイケメンなドクターなんて、なかなかいないのが現実だ。
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