溺愛診察室～一途な外科医に甘く迫られています～

自分ひとりのワガママな感情を払拭して聞くと、佐々木君は嬉しそうに顔を綻ばせた。

「喜んで。もちろん取材は佐野がしてくれるんだろ？」

「うん」

頷くとますます彼は嬉しそうに笑う。

「そっか。……楽しみだな、仕事をしている佐野の姿を見られるの」

「えっ！　別になにも変わらないよ？」

職場でも私は普段通りだと思うから。それなのに彼は声を弾ませて言う。

「誰だって自分では変わらないって思うだろうけど、第三者が見たら違うって。俺のこと、仕事中も今と変わらないと思っている？」

「それは……思わない、かな」

仕事中の佐々木君はドクターの顔になっているもの。私やおばあちゃん、患者さんの前では表情は穏やかだけれど、看護師や他のドクターと話している時は、厳しい表情でまるで別人のようだから。

一瞬迷いながらも正直に答えると、彼は得意気な顔で「そうだろ？」と言うと、白い歯を覗かせた。

「だから佐野の新たな一面を見られるかと思うと楽しみで仕方ないよ。それに俺ばかり仕事中の姿を見られっぱなしじゃ、フェアじゃないだろ？」