溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「フェアじゃないって……。フフフ、だってそれは仕方ないじゃない? 佐々木君はおばあちゃんの担当医なんだもん」

可笑しくて笑いながら言うと、なぜか佐々木君はキョトンとしている。

「……どうかした?」

さっきまであんなに笑っていたのに、と思い聞くと彼は再び笑った。

「いや? ただ、やっぱり佐野は笑った顔が最高に可愛いなって思って」

「なっ……!」

とんだ殺し文句に声を荒げてしまう。

「笑顔が可愛いところは、昔と変わっていないよな」

そんな私を見てますます愉快そうに笑い、佐々木君は私の顔を覗き込みながら言ってきた。

「もう……! からかうのはやめて」

『可愛い』と言われて恥ずかしいけれど嬉しくて、でも素直に言えるはずもなく可愛げのないことを言ってしまう。

「からかってなんていないよ。俺は本当のことしか言わないから」

自信たっぷりに言われ、徐々に顔の熱が上昇していく。でも佐々木君は至って通常運転で、私だけが心をかき乱されていて……なんか面白くない。
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