溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「そんなことないよ。家族が緊急搬送されたんだ、誰だって心配になるよ」

穏やかな声色に顔を上げると、優しく微笑む彼と視線がかち合う。

「おいで、ちゃんと安心できるように説明するから」

「……う、ん」

踵を返し、先に歩き出した彼の背中を見つめながら後をついていく私の心臓は、忙しなく動いている。

まさかこんな再会を果たすなんて夢にも思わなかった。

……ねぇ、佐々木君。佐々木君は昔、私に言ったことを覚えている?

私は今でも鮮明の覚えているよ。ずっとずっと忘れられなかったから。

「どうぞ」

診察室のドアを開けてくれた彼に「ありがとう」と言い、室内に入ると、佐々木君も中に入りドアを閉めた。

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