溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
舌を出して笑う彼女はやっぱり可愛くて、同じ同性なのにドキッとしてしまう。

「お姉ちゃん、綺麗になったね。最初、本当にお姉ちゃんかわからなくて、声掛けるまでドキドキしちゃったよ」

「それを言ったら私も同じ。彩音が変わりすぎていてびっくりした」

私の方こそ彩音じゃない気がして、自分から声を掛けられなかったから。

「本当!? お姉ちゃんにそう言ってもらえて嬉しいな」

また彼女は人目を気にすることなく、私の腕にしがみついてきた。

「少しの間でも一緒に暮らせるなんて夢みたい」

「彩音……」

本当、不思議なほど彼女には出会った頃から懐かれていた。どうしてここまで慕ってくれるのかわからないほどに。

その度にどんな顔をしてなにを言えばいいのかもわからない。

「行こうか、おばあちゃんが待っているから」

「うん」

大人になって会っても、血は繋がっていないとはいえ妹なのに、うまく接することができないなんておかしな話だよね。

こんな調子でお父さんたちと会って大丈夫なのだろうか。

一抹の不安を抱えながら、彩音とふたり、おばあちゃんが待つ家へと向かった。
< 156 / 279 >

この作品をシェア

pagetop