溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
すっかり落ち込んでいると、笠井君は咳払いをした。

「あの、これは男としての意見ですが」

そう前置きをすると、どこか照れくさそうに話し出した。

「男としては、好きな子が困っていたり、悩んでいたら一番に頼ってほしいもんですよ」

「えっ?」

目を丸くする私に、笠井君はほんのり耳を赤く染めた。

「誰にも言えないような悩みを相談されたら、男って単純だからそれだけで嬉しくなるんです」

意外なことを言う笠井君に目をパチクリさせてしまう。

この前から笠井君の新たな一面を目の当たりにするたびに、驚かされている。

呆然としていると、笠井君は顔中を真っ赤にさせて耐え切れなくなり声を上げた。

「ちょっと佐野先輩、なにか言ってくださいよ。俺、すっげぇ恥ずかしいんですけど」

「あ、ご、ごめん!」

笠井君は私の気持ちを汲んで言ってくれたのに、なにも言わないのはまずかったよね。

「えっと……ありがとう」

でもなんて言ったらいいのかわからなくて、「ありがとう」って言うと、笠井君は恥ずかしそうにそっぽ向いた。

「わかっていただけたら、佐々木さんにはなんでも話した方がいいですよ。それが成就への近道だと思うので」

「……う、ん」
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