溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
やっぱり笠井君も砂羽と同じようなことを言うんだね。笠井君もそうなのかな。

ドアの方を見ると、まだ薫ちゃんが戻ってくる気配はない。気になり、思い切って聞いてみた。

「笠井君も薫ちゃんには、なんでも話せる?」

突然の質問に笠井君はビックリしている。

「そう、ですね……良い意味でも悪い意味でもなんでも話せているかもしれません」

「悪い意味?」

どういうことだろう。聞き返すと、彼は言葉を選びながら話してくれた。

「好きだから深沢には、つい本音を零したり、つまらない意地やプライドをぶつけたりしちゃっています。だからいつも喧嘩になるのかもしれません」

苦笑いする笠井君に、妙に納得する自分がいた。

笠井君は悪い意味でも……っていうけれど、全部良い意味でじゃないかな。だからこそお互いぶつかり合い、わかり合っていくものだと思うから。

きっと砂羽と旦那さんもそうなんだよね。お互い本音でなんでも話せるから喧嘩しても、仲直りできるんだ。

「佐野先輩も佐々木さんのことが好きなら、遠慮することなく本音をぶつけてみたらどうですか? 案外それがうまくいくコツだったりしますから」

「えっ……」

ちょっと待って。もしかしてそれって……。
< 162 / 279 >

この作品をシェア

pagetop