溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
もしかしてお母さんたち、勘違いしている? 私が佐々木君の彼女だって。

でも勘違いされて当然かも。私だってびっくりしたもの。佐々木君に家に招待されて。……佐々木君はどういうつもりで私を実家に連れてきてくれたんだろう。

私が帰りたくないって言ったから?

隣に座る佐々木君を見ると、両親や叔父さん夫婦のやり取りを呆れた顔で見ている。

「お義兄さんのせいですからね? 環奈ちゃんが家に嫁に来たくないって言ったら」

「なにを言う! お前が悪いんだろう! 一々俺に突っかかってくるから!」

「そうさせているのは、お義兄さんでしょう」

せっかく止まったはずの言い合いが、再び始まってしまった。

最初はビックリして、ハラハラしながら見ていたけれど……よーくふたりの話の内容に聞き耳を立てると、ちょっと……いや、かなり子供じみたことで言い合っているよね?

まるで歳があまり離れていない、幼い男兄弟のケンカのよう。聞けば聞くほどそう思えてならない。
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