溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
賑やかな食卓。佐々木君は呆れているけれど……だめだ、お父さんたちの話が可笑しくて我慢できない。

つい声を上げて笑ってしまうと、お父さんたちは口を閉じ、私は一気に視線を集めた。

まじまじと見つめられ、慌てて口元を手で覆う。

あぁ、もう私ってばなにやっているのよ。笑うなんて失礼過ぎる。

「す、すみません」

すぐに謝ると、四人は顔を見合わせ嬉しそうに顔を綻ばせた。

「笑えるわよね、ふたりとも大人げなくて。……あ、真太郎はふたりとは違うから安心してね」

お母さんはにっこり笑ってそう言うけれど、なんて返したらいいのかわからなくなる。

「おい灯里。それはどういう意味だ」

「そうだぞ、灯里! お兄ちゃんに向かって失礼じゃないか!」

今度は息ピッタリにお母さんに抗議してきたお父さんたちに、思わずまた笑ってしまった。私につられるように佐々木君も。

そこからはお父さんたちが言い合いすることなく、穏やかな雰囲気でホームパーティーが進んでいった。

「環奈ちゃんのご家庭は、うちみたいに賑やかを通り越してうるさくはないわよね?」

「あっ……えっと……」
< 182 / 279 >

この作品をシェア

pagetop