溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
だから羨ましくなった。佐々木君はこれが日常だったわけでしょ?

とはいえ、ちょっとしゃべり過ぎたかもしれない。あまりに正直になりすぎた。

あれほど賑やかだった食卓はシンとしちゃっている。

明らかに私のせいだよね。すぐに謝ろうとした時、すすり泣く声が聞こえてきた。

「うっ……うっ……。なんて健気な良い子なんだ……! 真太郎、お前いい人を見つけたな」

「ちょっと叔父さん、なに泣いているんだよ」

佐々木君の言う通り、私の話を聞き泣き出した叔父さんに私はもちろん、お母さんたちもびっくりしている。

そんな中叔父さんは立ち上がり、ズカズカと私の元へ来ると膝まづき、がっちり私の手を握った。

「え、あっ、あのっ……!?」

固く握られ、ダンデイな叔父さんにウルウルした目で見つめられると、妙にドキドキしてしまう。

「環奈ちゃん、是非真太郎のお嫁においで! 俺たち家族が幸せにしてあげるから!!」

「えっと……」

どうしたらいいのか困り果てていると、すぐさま握られている叔父さんの手を佐々木君は払い除けた。
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