溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「どうぞ」

ドアを開けて招き入れてくれる佐々木君。

「お邪魔します」

おずおずと足を踏み入れた先は、彼の部屋。

佐々木君は病院から近いのもあって、ずっと実家暮らし。そこは彼の完全なるプライベート空間だった。

十二畳ほどの部屋は黒を基調とした家具で統一されていて、必要最低限の物しかない。でも本棚にはたくさんの医学書が所狭しと並べられている。

佐々木君らしい部屋についまじまじと眺めていると、彼は部屋の真ん中にあるソファに座るよう促してきた。

「立っていないで座ったら?」

「……うん」

言われるがままソファに腰掛けようとしたものの、既に佐々木君が座っていて隣に座っていいのかと躊躇する。

でも佐々木君はソファを手で叩いて「ここにどうぞ」と言う。

そう言われては、座らないわけにはいかない。「失礼します」なんて他人行儀なことを言いながらそっと腰掛けると、案の定、佐々木君に笑われてしまった。

「なに? 失礼しますって」

「いや、だってなんか……」
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