溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
わけがわからず尋ねると、佐々木君はその理由を話してくれた。

「俺の母さんは、幼い頃叔父さんたち家族に施設から引き取られたんだ。だから叔父さんとは血が繋がっていない」

まさかの話に驚きを隠せない。だってお母さんと叔父さん、初対面の私から見ても本当に仲が良い兄妹にしか見えなかったから。

「俺も最初聞いた時はびっくりしたよ。子供の俺から見てもふたりは仲が良かったから。……叔父さんとだけじゃない、母さんは祖父さんや祖母さんとも、本当の親子のように仲が良いんだ」

そう言うと佐々木君は、切れ長の瞳を細め私を見つめた。

「だから佐野を家に呼んだんだ。……母さんと叔父さんの関係を見て知ってほしかった。血の繋がりなんて、それほど大きな問題じゃないと俺は思う」

「佐々木君……」

たしかに佐々木君のお母さんたちは、そうかもしれない。でも私は彩音とうまく関係を築いていける自信がない。

さっきだって私、彩音のことを傷つけてしまった。ずっと離れて暮らしていて、お互いのことをそれほど多く知らない。それなのに今さら仲良くなんてできるの?
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