溺愛診察室～一途な外科医に甘く迫られています～

勝手に勘違いして彩音を傷つけて、家を飛び出してきてしまった。なにやっているのよ。

後悔し拳をギュッと握りしめた。

「なぁ、佐野。……これはふたりの問題だし、俺がどうこう言えることじゃないってわかっているけどさ、ちゃんと話してみたらどうかな。佐野って高校生の時もそうだったけど、我慢して抱え込むタイプだっただろ？　それが佐野の良いところかもしれないけど、周りの人間は寂しくもあると思う。話して欲しい、もっと頼って欲しいって」

彼の想いに胸がトクンと鳴る。

思い返せば私、佐々木君の言う通り昔から勝手に抱え込んで、我慢してばかりだった。

お父さんから再婚すると聞かされた時も、内心再婚してほしくないと思っていたくせに、反対することもせず勝手に拗ねて家族と疎遠になって……。一度も向き合ってこなかった。

だから今、こんな風になっちゃっているんじゃないかな。彩音はいつだって私と打ち解けようとしてくれていたのに。お義母さんだって……。

「今からでも、間に合うかな……」

不安になりボソッと呟くとすぐに佐々木君は、大きく頷いてくれた。