溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「もちろん。家族なんだから、きっと佐野の気持ちわかってくれるよ」

力強い声で言われると、勇気が出る。彼が言うように今からでも遅くないって思わされる。

「でもいいよな、姉妹って。ほら、俺は姉貴だから一方的に怒られてばかりでさ。喧嘩なんてしたことないかも」

「そうなの?」

「あぁ、男同士なら喧嘩が絶えなかったかもしれないけど、姉貴は強かったから。子供の頃は母さんより姉貴の方が怖かったくらい」

意外な話に思わず笑ってしまった。

「ちょっと想像できないかも。佐々木君がお姉さんに逆らえないって。……会ってみたいな」

「いいよ、今度会わせてあげる。でもきっと最初は猫被っているから、イメージとはかけ離れていると思うよ」

「えー、でもますます会ってみたくなる」

不思議。佐々木君と家族の話をしていることが。あんなに佐々木君には、話したくないって思っていたのにな。

一度話したら止まらなくなりそう。もっと彼に聞いて欲しい、そして私も知りたいと思うから。
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