溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「じゃあ十年後、また気持ちを伝えてもいい?」
「えっ……?」
十年後? それってどういう意味?
彼の真意が知りたくて顔を上げる。すると彼はふわりと笑った。
「俺の気持ちは、この先もずっと変わることがないって自信があるから。……だから十年後、一人前になったら想いを伝えにいくから」
思いもよらない告白に、私は戸惑うばかり。
だって十年後っていったら私たちは二十八歳。そんな遠い未来のことなんて予想できないし、十年先も彼が私を想ってくれているとは、到底思えない。
それなのに彼は笑顔で「約束。……覚えておいて」と言って去っていった。
『覚えておいて』と言いながら、連絡先を聞いてくることもなく。
それから毎年、三月になると私は彼のことをよく思い出していた。
大学を卒業して社会人になる頃には、ずっと好きでいる自信があった先生への想いは徐々に小さくなり、淡い初恋は消え去った。
毎日が忙しくて、けれど遣り甲斐のある仕事に充実した日々を送り、恋愛する暇もなく、ただ一年に一度彼のことを思い出すばかり。
「えっ……?」
十年後? それってどういう意味?
彼の真意が知りたくて顔を上げる。すると彼はふわりと笑った。
「俺の気持ちは、この先もずっと変わることがないって自信があるから。……だから十年後、一人前になったら想いを伝えにいくから」
思いもよらない告白に、私は戸惑うばかり。
だって十年後っていったら私たちは二十八歳。そんな遠い未来のことなんて予想できないし、十年先も彼が私を想ってくれているとは、到底思えない。
それなのに彼は笑顔で「約束。……覚えておいて」と言って去っていった。
『覚えておいて』と言いながら、連絡先を聞いてくることもなく。
それから毎年、三月になると私は彼のことをよく思い出していた。
大学を卒業して社会人になる頃には、ずっと好きでいる自信があった先生への想いは徐々に小さくなり、淡い初恋は消え去った。
毎日が忙しくて、けれど遣り甲斐のある仕事に充実した日々を送り、恋愛する暇もなく、ただ一年に一度彼のことを思い出すばかり。