溺愛診察室～一途な外科医に甘く迫られています～

お父さんたちはこの日はおばあちゃんの家に泊まり、次の日は家族四人で東京観光へ繰り出した。

「お姉ちゃん、見て見て！　スカイツリーだよ！」

「もう彩音ってば興奮しすぎ」

スカイツリーを見て子供のようにはしゃぐ彩音に、私たちは笑ってしまった。

お義母さんとはちょっぴりぎこちなかったけれど、今までに比べたらたくさん話せたと思う。

楽しい時間はあっという間に過ぎていった。



「悪かったな、空港まで」

「ううん、私が空港まで送りたかったから」

ロビーの椅子に並んで座り、最後まで会話を楽しんでいると、搭乗開始アナウンスが鳴った。

「じゃあ行くな」

「……うん」

あんなに会うのを躊躇っていたのに、素直な気持ちを伝えることができたから、離れるのが寂しく思う。

「環奈ちゃん、無理しないでお仕事頑張ってね」

「……はい」

お義母さんに手を握られ、泣きそうになる。

「お姉ちゃん、またたくさん話しようね！」

「うん、楽しみにしている」

みんなと挨拶を交わすと、お父さんを先頭に搭乗口へと向かっていく。私もギリギリまで見送った。