溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「ごめんね、今までずっと言えずにいて。……先生に恋しているなんて、誰にも言えなかったの」

すると紗枝は眉間に皺を寄せて、うーんと唸り出した。

「まぁ、相手が相手だし仕方なかったのかもしれないけど、やっぱり寂しいな。話してくれなかったのが」

「……ごめん」

好きって気持ちは、先生にとって迷惑以外のなにものでもないとわかっていた。だからこそ誰にも話せなかった。バレたら先生を困らせるだけだから。

「どうして先生を好きになったの? まぁ、思い出すとたしかに爽やかでカッコいい部類には入る先生だったけどさ」

「ほら、ちょうど私、家庭で色々あったでしょ? 担任として親身に相談に乗ってくれていたの。それがきっかけかな。自分のことを理解してくれる大人の男性の先生に最初は憧れて、次第に好きになっていった」

先生はいつも笑顔で、明るく私を励ましてくれていた。そんな先生の笑顔に私は何度も助けられてきたから。

「ふーん、なるほどねぇ。でもちょっとわかるかも。高校生の時ってさ、妙に年上の男の人に憧れたりしたよね」

「え、砂羽も?」

初耳な話に前のめりになる。
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