溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「でも今はそう思っていないよ? 変わらない気持ちもあるんだってわかったから。……今の佐々木君は昔よりもっと素敵で、とても魅力的な人。今日、男性を助ける姿を見てカッコいいって思った。そんな佐々木君に見合う人間になりたいって」

家族と向き合うことができたのは、佐々木君のおかげ。少しだけ強い自分になれたのも佐々木君のおかげだから。

彼のそばにいれば、私はもっと自分を好きになれるの。

「まだまだ隣を並んで恥ずかしくない人間にはなれないけど、それでも佐々木君の一番そばにいたいの。……佐々木君に対する気持ちだけは変わらないって自信がある。この先の十年も二十年も、ずっとずっと。それほど佐々木君が好きなの」

再会したときから、私の気持ちは大きくなっていたんだと思う。臆病になってそれに気づけなかっただけなんだ。

伝えたいことは全部伝える事ができた。……私の想いは、佐々木君に届いただろうか。

チラッと彼を見ると、佐々木君は放心状態。

「……佐々木君?」

恐る恐る呼ぶと、佐々木君は再び苦しいほど私の身体を抱きしめた。そして吐息交じりに呟いた。

「……夢みたいだ」
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