溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「真太郎は明日も仕事?」

「そうだよ、環奈もだろ?」

「うん、明日は朝からずっと取材。足が痛くなりそう」

そう言うと彼女は俺の腕に自分の腕を絡ませ、ピタリと寄り添ってきた。

「久しぶりに会えたのに、あっという間に時間は過ぎちゃって寂しいな。……もう帰らないとだもんね」

帰りたくないのか歩幅は狭まり、歩くスピードが格段に遅くなる。

こういった何気ない言動に、俺はいつも心を乱されている。

本音を言えば、このまま環奈を帰したくない。俺もいつも思っているよ、ふたりで過ごす時間ほど早く過ぎると。

俺も彼女の歩くペースに合わせ、ゆっくりと駅へと向かっていく。

その間も環奈は酔っているのか、いつになく甘えた声で「帰りたくないなー」を繰り返す。

そんな彼女が可愛くて、俺は思い切ってある提案をした。

「なぁ、環奈……今度休み合わせて旅行に行かないか?」

お互い実家暮らしで、朝まで一緒に過ごした回数は数えるほど。旅行に行けば、朝から夜までずっと一緒にいられて、次の日もふたりで過ごすことができるだろ?

すると環奈は足を止め、目を大きく見開いた。
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