溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「旅行って……嘘、行きたい!」

喜ぶ彼女に提案してよかったと嬉しくなる。

「じゃあ行こう。まずは行き先を決めて、日程も決めないとな」

「そうだね、どこがいいかな」

「今度一緒に本屋行こうか」

「うん」

身体を寄せ合い、旅行の話をしながら駅へと向かっていった。



後日、環奈と仕事終わりに待ち合わせて本屋へ向かい、ガイドブックを見ながら行き先を決めた。

お互いしばらく仕事が忙しく、行くのはまだ先になりそうだがそれまで環奈と予定を立てる楽しみがあるかと思うと、仕事も頑張れる。


「ただいま」

「おかえりなさい。今日は珍しく早かったのね」

日勤のこの日、特に急患もなく帰ることができた。ちょうど昨日からオペ続きで身体が限界だったから助かった。

帰宅すると母さんがご飯の用意をして待っていてくれた。

「父さんは当直?」

テーブルに並べられている唐揚げをつまみ食いしながら尋ねると、キッチンで準備をしながら母さんが答えた。

「えぇ、そうよ。今夜は真太郎が早く帰れそうだから、美味しい物作ってやってって言われたの」

「ふーん」
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