溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
父さんは医院長でありながら、今も第一線で働いている。俺たちと同じように当直もする。

幼い頃からそんな父さんは俺の憧れであり、目標でもあった。それはもちろん今も変わっていない。

俺も父さんのような医者になりたいと思っているから。

「着替えてくる」

もう一個唐揚げを手に取り、自分の部屋へ向かおうとした時、母さんが慌ててキッチンからやって来た。

「そうだ、真太郎。手紙きていたわよ」

「手紙?」

テーブルの上に置かれていた一通の手紙を手に取ると、母さんは俺に手渡した。

「同窓会だって」

「同窓会?」

「いいわね、楽しそう」と言いながらキッチンへ戻っていく母さんを尻目に、自分の部屋に向かいながら渡されたはがきを見ると、それは高校の同窓会の案内状だった。

「高校の……か」

自分の部屋に入り、バッグとはがきをテーブルの上に置き、クローゼットを開いた。

中学に比べて高校では友達がたくさんできたし、今でも連絡を取り合っている奴が何人かいる。社会人になってからなかなか会えずにいるから、出席したいと思うけれど……。
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