溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
部屋着に着替え、再びはがきを手にした。

「当然、来るよな」

静かな部屋に漏れる声。

担任だった先生が同窓会に来ないわけがない。環奈はこのはがきをもう見ただろうか。

「環奈……どう思うんだろう」

彼女とはお互い想い合っていると思う。でも、やはり不安になる。高校時代、嫌になるほど環奈が先生のことを好きな気持ちを目の当たりにしてきたから。

先生を見る目も話す時の声のトーンも、向ける笑顔も全部が先生を『好き』だといっていた。

それは三年間ずっとだった。

そんなに好きだった相手だ。……久しぶりに会って気持ちが再燃するってこともあり得る話だよな?

先生がもし独身だったら、ふたりはもうなにも問題ないわけだし……。

「だめだ、考えるのやめよう」

仕事が忙しいと言っていたし、環奈が同窓会に出席するかわからない。それなのにあれこれ考えるのはやめよう。
着替えを済ませ、母さんが待つリビングへ向かった。


【はがききた? 真太郎は同窓会行く? 私は行く予定だよ】

彼女から絵文字がたくさん使われたメッセージが届いたのは、二日後のことだった。
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