溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「当たり前だろ? 環奈が言わなかったら俺が言うつもりだったから」

背中をのけ反らせると、環奈の顔はみるみるうちに赤く染まっていった。そんな彼女にクスリと笑みを漏らしてしまう。

「ほら、見くぞ」

「う、うん」

手を繋ぐとギュッと握り返してきた。

環奈の気持ちは俺だけに向かっている。そう信じてもいいよな? 繋いだ手から伝わってくる彼女のぬくもりを感じ、強く願った。



「楽しかったね、同窓会」

「あぁ。できるなら最初から参加したかったよ」

日付が変わってからやっとお開きになった同窓会。二次会に向かう友達と別れて環奈と居酒屋を後にした。

「それより大丈夫か? 時間。岡本さん心配しているんじゃないか?」

ふたりで食事をしても、こんな遅い時間に帰したことがないから不安になる。すると環奈はなぜか口をへの字に曲げた。

「いや、その……真太郎は今日、帰るつもりで来たの?」

「えっ?」

俺を見上げ聞いてきた環奈の顔は、赤く染まっている。すると彼女は目を逸らした。
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