溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「私は今夜は帰らないつもりで、おばあちゃんにもそう言ってきたんだけど……」

「環奈……」

きっとすごくドキドキしていると思う。こんなに積極的な彼女は初めてだから。

「そうだよな、こんな時間まで一緒にいて帰すわけにはいかないよな」

彼女の肩を抱き寄せると、環奈の甘い匂いが鼻を掠める。

「この時間だと、いいところには泊まれそうにないけど、それでもいい?」

わざと彼女の耳元に顔を寄せて囁くと、環奈は俺に抱きついてきた。

「うん」

あぁもう。本当にどうして環奈の言動ひとつひとつが、一々ツボなんだろう。可愛くて仕方ない。

その日の夜、久しぶりに環奈と甘い夜を過ごした。



そっと頬を撫でると眉間に皺を寄せて、「んん~」と唸り出したものだから思わず笑ってしまった。

彼女を抱き寄せながら時間を確認すると、朝の五時過ぎ。

あと少ししたら起こして出る準備をしないとな。今日、俺も環奈も仕事だから。

眠気は覚め、環奈の寝顔を見つめているとゆっくりと目を覚ました。

「おはよう、よく眠れた?」

頬にキスを落としながら言うと、環奈は恨めしそうに俺を見る。

「やだ、寝顔見ていたの?」
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