溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
まるで子犬のように嬉しそうな顔を見せる薫ちゃんに、笠井君は「非常識な奴め」なんて悪態をつく。

すると当然また言い争いを始めるふたりを尻目に、私は戸惑いを隠せずにいた。

どうして私、すぐに佐々木君のことを薫ちゃんに話せなかったんだろう。彼ならコーナーにぴったりだし、イケメンドクターは掲載したことなかったんだから、うってつけなのに。

「そうだ、環奈先輩! 今度おばあさんのお見舞いに行かせてください」

「そうだな、佐野先輩にはいつもお世話になっているし」

さっきまで言い争いをしていたと思ったら、急に息ぴったりに私に言ってきたふたり。

「そんなっ……! 気にしないで」

両手を振って断るものの、ふたりはなかなか引き下がらない。

「そういうわけにはいきませんよ。日頃、なにかと世話になってますし」

「そうですよ! それにほら、おばあさんを見舞いつつ、イケメンドクター探しができて一石二鳥ですし」

「まぁ……たしかにそうかもな。それなら佐野先輩の手を煩わせることにならないし」

「でしょ? やだ、珍しく笠井君と意見が合った!」

「……だな」

勝手に話を進めていくふたりに割って入った。
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