溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「ちょっ、ちょっとちょっと! 勝手に話を進めない! お見舞いは大丈夫だし、イケメンドクターは私が探してくるから」

咄嗟に言うと、ふたりは大きく瞳を揺らした。

「環奈先輩、なんでも自分ひとりで背負わないでください。頼りないかもしれませんが、こういう時こそ頼っていいんですよ?」

「俺たちにできることは、なんでもします。雑用なんかは俺たちに任せてください」

そう、だよね。ふたりは私のことを思って言ってくれているのに私ってば……。

先輩として恥ずかしくなる。

「ありがとう。じゃあお願いしてもいいかな?」

するとふたりは嬉しそうに顔を綻ばせた。

薫ちゃんと笠井君に申し訳なくなる。でも咄嗟に嫌だと思ってしまったんだ。……薫ちゃんと佐々木君を会わせるのが。

だけどなぜ? どうして薫ちゃんと佐々木君を会わせたくなかったの? これじゃまるで私も佐々木君のことが好きみたいじゃない……?

ううん、そんなことない。ずっと十年前のことが気になっていたからだよね。それに佐々木君には悪いけれど、やっぱりまだ信じられないよ。
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