溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
頭で考えるより身体が動いちゃうタイプで、高校時代から大胆な言動に何度も驚かされてきた。

そんな彼女だからこそ、大きなキャリーバッグを引いて家を飛び出してきたのかもしれないけど。

「本当にしばらく帰らないつもりなんだ?」

聞くと砂羽はムッとした。

「しばらくじゃなくて、永遠によ! 言ったでしょ? 離婚する勢いで家を出てきたって。仕事を見つけて、ひとり暮らしする資金が貯まるまでお世話になります!」

敬礼ポーズしながら話す砂羽だけれど、どこまで本気なのだろうか。まさか本当に離婚するつもりじゃないよね? 
まだ結婚して三ヶ月じゃない。

いったいなにがあったんだろう。

聞きたくてもここは歩道。話の内容が内容のだけに、落ち着いて聞けないよね。

「とにかく家に帰ろう。……あ、夕食まだだよね? どうする? 食べていく? それとも作るならなにか買っていかないと」

ひとりだから買い物に行けていない。今日も適当にコンビニで済ませちゃおうと思っていたから。

すると砂羽はキョトンとした。
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