溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「え、食べていくって……おばあちゃんは? あ、もしかして旅行かなにかでいないの? だから留守だったんだ?」

歩を進めながら聞いてきた砂羽に一瞬、入院していることを言おうか迷ったものの、しばらく家に置くならいずれはバレること。

そう判断し彼女の様子を窺いながら話した。

「実はおばあちゃん、今、入院しているんだ」

「……えっ! 入院って嘘でしょ!?」

足を止めびっくりする砂羽に私も足を止めた。

「本当。あ、でも命にかかわるような病気ではないから安心して。二週間ぐらいで退院できるみたいだから」

心配かけないように努めて笑顔で伝えたものの、砂羽の表情は硬くなる。

「二週間ぐらいって言っても、病気だから入院したんでしょ? 本当に大丈夫なの?」

「うん、大丈夫だよ」

安心させるように言うと、少しだけ彼女の表情は緩んだ。けれどすぐにハッとし詰め寄ってきた。

「ねぇ、面会はできるんでしょ? 何時まで? まだ間に合う!?」

「えっと……うん、面会はできるし今から行けば間に合うけど……」

「よしきた! すぐ行こう!!」
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