溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
朗らかな表情で聞くおばあちゃんに、砂羽は瞼をギュッと閉じて言った。

「お願いします! なにも聞かずしばらく家に置いてもらえませんか!? おばあちゃんがいない間、家のことは環奈に代わってやりますので!!」

家主のおばあちゃんの許可を取るのが、実に砂羽らしい。

大きく頭を下げて懇願する砂羽に、おばあちゃんは目をパチクリさせた。

「砂羽ちゃんったらお願いするまでもなく、いつでも気軽に泊まってちょうだい。それに私がこうして入院しているから、環奈も砂羽ちゃんがいてくれたら心強いと思うし」

「え……いいんですか? 迷惑じゃないんですか?」

呆気にとられる砂羽に、おばあちゃんは大きく頷いた。

「もちろん。好きなだけいてちょうだい。砂羽ちゃんなら大歓迎よ」

「おばあちゃん……!」

寛大なおばあちゃんに、砂羽は感極まり思いっきり抱き着いた。

「あらあら、嬉しいわね」

そんな砂羽におばあちゃんとふたり、顔を見合わせ笑ってしまう。
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