溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「おばあちゃんが留守の間、私がしっかり家を守りますね」

「あら、頼もしい。それじゃ私は安心して治療に専念できるわね」

ふたりのやりとりに口元が緩む。

砂羽はおばあちゃんから離れ、近くにあった椅子に腰かけた。

「それにしても環奈から聞いた時はびっくりしましたよー。おばあちゃんが入院したって聞いて」

「そうよね、私自身も驚いたもの。……でもこうして砂羽ちゃんがお見舞いに来てくれたり、環奈の同級生に担当してもらえて、安心しているわ」

「同級生って……え? あっ!」

ここにきてやっとここが佐々木君の勤め先だと気づいたのか、砂羽は微妙な顔で私を見る。

そんな彼女に苦笑い。

「そうなの、おばあちゃんの担当医は佐々木君なのよ」

「佐々木君って……あの佐々木君!?」

ギョッとし、信じられないと言うように私を凝視する彼女に大きく頷いた。

「その佐々木君」

顔を引きつらせながら言うと、私と佐々木君の関係を知っている砂羽は、急にアワアワしはじめた。
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