溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
正直、大変な仕事だけれど遣り甲斐はある。席について早速仕事に取りかかろうとしたんだけど……。

「環奈先輩ー! ちょっと聞いてくださいよー!! また笠井君ってば、私のプリンを勝手に食べたんですよ!」

給湯室から勢いよく飛び出して駆け寄ってきたのは、三歳年下の後輩、深沢薫(ふかさわ かおる)ちゃん。


身長百五十二センチと小柄。髪はふわふわの天然パーマで目はクリッとしていて、まさにお姫様みたいな可愛らしい子だ。

そんな薫ちゃんがこんな風に泣きべそかくことは、今に始まったことではない。むしろ私をはじめ、職場のみんなは見慣れた状況だ。


「信じられなくないですか!? しっかり大きく名前書いておいたのに食べるなんて……! 私、プリンを楽しみに今日一日頑張ろうって思っていたんですよ!?」

「えっと、薫ちゃん落ち着いて。プリンなら私が買ってあげるから」

苦笑いしながらも宥めていると、元凶の人物が姿を見せた。
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