溺愛診察室～一途な外科医に甘く迫られています～

そうだよ、佐々木君には申し訳ないけれど、彼の気持ちを素直に信じることはやっぱりできない。

けれどそんな私の気持ちを砂羽は真っ向から否定してきた。

「どうして？　今の佐々木とは会っていないからわからないけど、冗談で告白したり、からかったりするような奴じゃなかったと思うけど」

「それは……っ」

砂羽の言う通りだ。高校時代の佐々木君は、そんなことをするような人じゃなかった。

頭では理解している。……でもやっぱり素直に信じることはできないよ。あまりに時間が経っているから。

「佐々木は本当に十年もの間、ずっと環奈のことが好きだったんじゃないかな？」

「そう、なのかな……」

昔からなんでも相談してきた砂羽に言われても、すぐに納得できない。大人になった彼に再会したからこそ、余計にそう思うのかも。

だって大人になった佐々木君は、見違えるほどカッコよかったから。そんな人が十年もの間、私のことを想ってくれていたなんて……なんか、申し訳なく思うほど信じられないもの。