溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
ウジウジ悩んでいると、砂羽は痺れを切らしたのか私の腕をガッチリ掴んだ。

「そんなに気になるなら本人に聞くのが一番! 本当に私のこと、今も好きなの!?って聞いてこい!」

「いやいやいや、そんなこと聞けないから!!」

とんでもないことを言い出した砂羽に、必死に抵抗をする。

「聞かなきゃ、あんたはいつまでもウジウジしっぱなしでしょ?」

「それはそうかもしれないけど……っ!」

エレベーターホールで互いに一歩も引かずにいると、突如声が響いた。

「今もずっと好きだよ」

通った声に私と砂羽の動きはピタリと止まる。

え……この声って。

そしてふたり一緒に声のした方を見ると、そこには白衣姿の佐々木君の姿があった。

「え……もしかして佐々木?」

ポカンとする砂羽に、佐々木君は眉尻を下げた。

「久しぶり木本。……あ、違うか。結婚して苗字変わったんだよな?」

「あ、うん今は宮本だけど……」

動揺しながらも答える砂羽。その横で私もまた戸惑っていた。

佐々木君、さっき『今もずっと好きだよ』って言っていたよね? それはつまり、砂羽との話を聞かれていたってことだよね?
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