溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
そもそもどう切り出すべき? 告白してくれたのに、避けていてごめんってストレートに言うの? そんなこと私に言える?

せっかく会えたのにうまく話せなくなる。そんな私の元へ、彼は一歩、また一歩と近づいてくる。

足音に顔を上げると私の目の前で立ち止まった彼と目が合う。

三日ぶりに見る白衣を脱いだ佐々木君もやっぱりカッコよくて、いつの間にか視線が釘づけになっていた。

まじまじと見つめる私に、彼は困り顔を見せた。

「……あまり見られると、さすがに恥ずかしいんだけど」

口元を手で覆い、照れる姿にドキッとさせられながらも、ジッと見つめていたことに気づき慌てて謝った。

「ごめっ……ごめんなさい。……それに、その……」

言葉に詰まるものの、すぐに自分を奮い立たせる。だって佐々木君は何度も私に想いを伝えてくれた。

彼に私も自分の気持ちをちゃんと届けたい。

「告白してくれたのに、ちゃんと話そうとせず避けていてごめんなさい! 私、びっくりして。……十年間、会わなかったのに好きって言われても、信じられなくて」
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