溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
知りたくて彼の答えを待つ。すると佐々木君は悩む様子も見せずすぐに答えた。

「そうなっていたら、佐野とはそれまでの関係だったと受け入れていた。俺と佐野には縁がなかったんだって。でも違った。このタイミングで再会できて、お互い結婚していない。……恋人、もいないんだよな?」

ハッとし、恐る恐る聞いてきた佐々木君に頷くと、安心した顔を見せた。

「よかった。……だったらもう運命としか言いようがないだろ?」

「運命?」

ロマンティックな言葉に思わず声を漏らすと、佐々木君は大きく首を縦に振った。

「あぁ。俺と佐野は運命の赤い糸で結ばれているんだって思いたい。 そうでなかったら、再会できなかったと信じたいんだ」

そう言うと彼の大きな手が私の手を優しく包み込んだ。

「この十年間、実は友達伝いに佐野のことを聞いていたんだ」

「えっ?」

友達伝いに私のことを聞いていたって、どういうこと?

すると佐々木君は言いにくそうに顔を渋めながらも、話してくれた。
< 96 / 279 >

この作品をシェア

pagetop