溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「佐野と同じ大学に行った友達から、佐野の様子をいつも聞いていたよ。就職先も聞いて、佐野の記事をチェックしていた。俺、街角季節の連載が特に好きでさ。佐野が撮った写真や綴られている何気ない言葉が、ひとつひとつ優しくて毎月見るのが楽しみなんだ」

びっくりだ。まさか佐々木君がタウン誌を……私が手掛けた記事を見てくれていたなんて。

じわじわと胸に温かな気持ちがこみ上げてくる。

どうしよう、嬉しい。佐々木君が言う街角季節の連載は、最後の方のページに小さく載っている記事で、普通に見ていたら見逃してしまいそうなほどだから。

それは入社してから、初めてひとりで任された仕事だった。

掲載予定だった記事が先輩のミスで載せられなくなり、私に白羽の矢が向けられた。

その時何気ない街の景色を載せたいと提案し、初めて自分が撮った写真……満開の桜の花の写真と、桜に対する想いを綴った記事が掲載された。

それが意外と好評で、編集長の後押しもあり、連載が決定した時はどんなに嬉しかったか。
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