...好き。
玄関前でキキッと止まった車。
運転手が私の隣に来て、扉を開ける。
「あ、ああ…ありがとう、川田」
「?いえ…行ってらっしゃいませ」
「菜乃花ぁ!行ってらっしゃい」
ニコニコしたパパと、執事の川田に見送られながら、歩き出す。
でも、上手く歩けない。足がすくむ。
そんな、人違いよ。
カナタ君がここにいるはずない。
今日もお仕事とかしているはず。
最近東京に来たって噂あるけれど、朝のアイスクリームの情報のように…旅行よ。
そう。うん。
そうよ。私ってばカナタ君が好きすぎて幻覚…